ダフタウンの南西、ベンリネス山の南斜面に建つ近代的な建築様式のアルタベーン蒸留所は、1960年台から1970年代にかけてのウィスキー産業の好景気をうけて誕生したいくつかの蒸留所のうちのひとつ。この時代、拡大していく需要を賄うため、各蒸留所は設備の近代化や建て替え、第2蒸留所の建設で生産規模を拡大していた。
1950年代以降、スコッチウィスキー業界にとって非常に重要となった北米市場によって成長したカナダのシーグラム社は、王室御用達の認可を受けたアバディーンの食料品店でブレンド会社のシーバス&ブラザーズ社を買収、その後もストラスアイラ(ミルトン)蒸留所やグレンキース蒸留所も買収。他にも米企業ナショナル・ディスティラーズ社によるブランドや蒸留所(グレンエスク、グレンユーリーロイヤル、ベンローマック、グレンローッキー)買収が行われた。長期間閉鎖状態となっていたグレンタレットやアイルオブジュラが再建され、大規模なグレーン蒸留所にもモルト蒸留所の設備が追加され、1960年代にはトミントール、タムナヴァーリン、リトルミルの各蒸留所が新しく誕生した。
1970年代に入り、シーグラム社は生産工程を省力化したふたつの蒸留所、ブレイス・オブ・グレンリヴェット(ブレイヴァル/1973-2002)とアルタベーンを建設。最新鋭の設備を導入し、6〜8人のわずかなスタッフでウィスキーの生産が可能になっている。蒸留所の敷地内に熟成庫は無く、生産されたニュースピリッツは全てシーグラム社の集中熟成庫で管理されている。
オフィシャルボトリングによるシングルモルトは発売されておらず、飲むことが可能なアルタベーンは全て独立系瓶詰業者によるもの。